針供養

昨日(12月8日)は日本の歳時記によれば「針供養」の日であった。「針供養」と言えば、蒟蒻に針を刺し、使い終わった針に感謝する。そして、裁縫の腕が上がるように願う日である。世の中、ユニクロ一強だが、手縫いの仕事は何としてでも残して行きたいものだ。洋裁の専門学校も頑張って生き延びてほしい。

先月のタイ旅行で王宮へ行った時、タイ女性の喪服姿を千人以上見た。ほとんどがオーダーだ。ファッション界をリードされた元王妃とのお別れ故に、参列者達はきりりと背筋を伸ばし、タイ式の喪服が似合っていた

バンコクで会いたかった女性がいた。それはブティック経営のピムさんだ。オリエンタルホテルのアフタヌーンティーの後、彼女の店へ寄ってみた。8年前は彼女が不調で不在であったが、今回は再会を果たした。店内は全く変わっていなかった。18歳でお針子になり、営々と頑張った結果、68歳の彼女は今ではたくさんのお針子を抱える経営者となっている。

今日の翻訳

ラーマ9世の御母君を敬慕してやまない詩人が書いた『พรรษาที่ร้อยเอ็ดสมเด็จย่า』(มะเนาะ ยูเด็น/วันนาว์ ยูเด็น共著 ศึกษาภัณฑ์พาณิชย์刊行 พ.ศ.๒๕๔๔)の冒頭部分から抜粋して出題する。

๑. ชีวิตเวียนเปลี่ยนไปไม่สิ้นสุด

๒. ชีพมนุษย์ดุจนิยายคล้ายความฝัน

๓. มีขมหวานผ่านมาน่าอัศจรรย์

๔. ให้สุขสันต์โศกสร้อยตามรอยกรรม

๕. ได้อำนาจวาสนาถลาโลด

๖. ออกโอยโอดสะอื้นอกเมื่อตกต่ำ

๗. ได้พบเห็นเช่นนี้มีประจำ

๘. ผู้มีธรรมคอยเตือนอย่าเคลื่อนคลอน

アーリー・マンション(อารีย์ แมนชั่น)

昨日、今年最後の「アジア女性のための生け花教室」を実施した。参加者は7名。お稽古の後、華道講師と11月のタイ旅行について話題が尽きなかった。旅行前、彼女は「吉川先生について行くだけでいいです」と言っていたが、ワット・アルンと、かつて住んでいたことがあるスクムビット26のアーリー・マンション、そして、その近くのバミー屋への郷愁が強く、その気持ちを組み入れて、願いをすべて叶えてあげた。

まずは腹ごしらえとしてバミー屋「ルンルアン รุ่งเรือง」へ。一杯60バーツ(約300円)は納得。1935年創業のこの店はミシュランのお墨付きだけあって、大勢の客でにぎわっている。ゆっくり食べているわけにはいかない。

食後、華道講師は店を出たかと思うと、一人すたすたと歩き出し、ソイをさっさと渡って白い瀟洒なマンションへと入って行った。守衛さんに挨拶もせず、奥に有るプールの方まで進んだ。あとからついて行った私は守衛さんに説明した。「彼女は40年前にこのマンションに住んでいたことがあるので、とても懐かしいのです」、と。

しじみ汁

一昨日、これまでに利用したことがない郵便局に入ると、人が少なくてたいへん良かった。高田馬場の郵便局だと中国人留学生に占拠されているも同然だからだ。

郵便局員がてきぱきと応じてくれたので用事はすぐに済んだ。さっさと郵便局を出ようとすると、そうは問屋がおろさなかった。「お客様、このしじみのおみそ汁、ものすごく美味しいんですよ」とセールストークが始まった。

しじみが疲労回復に良いことは重々わかっている。嫌いではないから10袋(調味みそ付き3食入り)を購入。「しじみ汁を飲みながら、今年をしみじみと振り返ろう」という思いがあとを押した。

島根県宍道湖産のしじみ汁である。「しまねけんしんじこさんのしじみじる」をタイ人に言わせると、「ちまねけんちんぢこさんのちぢみぢる」に近い発音をするような気がする。日本人であっても、早く発音しようとすればきっとつかえて、一度では言えないかも。

今日のタイ語作文

1.ธันวาคมは、射手座から由来している。

2.即ち、タイの月称は星座名が関与している。

3.光陰矢の如し。

4.年末で退職する人の送別会がたくさん有って、もう大変とぼやいている人がいる。

5.皆それぞれの人生だ。

角 vs 丸

日本に住んでかれこれ15年近くなるタイ人講師が言った。「日本人は角(เหลี่ยม)を掃除しないと気が済まない国民ですね。タイ人は丸く(กลม)掃除するだけ」

この話を補足するならば、「日本人は部屋の隅にたまった埃まできちんとぬぐわないと掃除ではないと思っている。つまり、掃除の時にも自分にプレッシャーをかけていると言えよう。そこへ行くと、タイ人はあくまでもさらっとしている」と、解釈できそうだ。

今回、宿泊したホテル近くの路上で高齢の女性が箒作りをしながらのんびりと売っていた。なつかしい光景である。ざっくりとした箒だから庭用のものだ。だが、箒としての機能は抜群。大切なこと、それは、掃除をするか否かということ。清めるということが自分を清めることに通じる。よって、掃除にプレッシャーは不要なり。□はやめて、〇で行こう!

物を書くこと

『99歳一日一言』(むのたけじ著 岩波新書 2013年)の中の「一二月五日」には、次なる思いが書かれている。物を書くことの精神と気迫が示唆された文章だ。

~文を書く仕事はいのちを削りますね。死期を感じる年齢になって、それを体で知るようになった。文を書く仕事にはそれだけの重い意味があるのだな。人間の生活にまともな筋を通すために、物書き職人は欠かせないな。~

むのたけじ氏は1915年生まれ。2016年に101歳で天寿を全うされておられる。Wikipediaには「新聞『たいまつ』を創刊。農村・農業の進路、出稼ぎ問題、農民運動の在り方、地方文化やサークル活動について追及し、<自分の言葉に自分の全体重をかける>記事を書き続けた」と紹介されている。

今日の語彙

東南アジアを襲った洪水被害は計り知れない。タイ南部の犠牲者や被災者に心よりお悔みとお見舞いを申し上げたい。以下のタイ南部の諸県を辞書を見ないで書いてみよう。カタカナ表記には限界が有るから、それを承知おき願いたい。

1. プーケット県     2.パンガー県

3.ナラーティワート県   4.ヤラー県

5.パッタニー県      6.サトゥン県

7.パッタルン県      8.トラン県

9.ナコンシータマラート県 10.クラビー県

11.チュムポーン県    12.スラーターニー県

師走です!

今日から師走。これから年末にかけて毎日がカウントダウンだ。もう昔のようには走れない。亀の如くの歩みでいいと悟った時から気がらくになった。バンコクの喧騒の中でも慌てず騒がず。タイ人に合わせてタイ人っぽく振舞うと、よりタイが面白くなった。

タイ旅行の2週間前頃から不思議なことが有り、タイ旅行中も、そして帰国してからも続いている。それは数十年、会っていない人達が私を訪ねて来たり、電話をかけて来たりすることだ。旅行中に、30年前の生徒さんが泰日文化倶楽部にやって来られ、名刺を置いて行かれた。その名刺を写したものをタイ人講師がLINEで送信してくれたが、私は彼をすぐに思い出すことができた。

私はもう走れない。脚力不足だから。だが、私を思い出した元生徒達が会いに来てくれる。一緒に会食すると、昔の話が突然、鮮明に浮かんだ。私も覚えているが、彼らもよく覚えているではないか! 教師冥利に尽きる。

ラーチャプラソン交差点

バンコクから帰京して9日が経つが、いまだに興奮がさめやらない。今回、宿泊したホテルはバンコクでももっとも賑やかなラーチャプラソン交差点近くに在ったから、車と人の往来の激しさに圧倒された。エラワン祠をはじめとして、いろいろな神様が周辺に鎮座されてパワースポットになっているだけあって、不思議な空気感を覚えた。

滞在中に偶然ではあるが、1970年代からバンコクで働いていた日本人が撮影したラーチャプラソン交差点周辺の写真を、写真整理しているという息子さんからのLine送信で見ることができた。半世紀前の写真はセピア色。エラワンの神様ももちろんセピア色。だが、神様は神様だ。今日まで堂々として人々を見守っている。そして、これからも……。

ホテルはとても古かった。以前も泊まったことがあるが、もはや時代遅れの感がした。だが、それが良かった。何でもかんでも新しくなってしまったら面白くない。ラーチャダムリ道路をはさんで向かい側にあるCentral Worldの外壁の電飾がけたたましいだけに、ホテルの中の静けさにほっとすることしばしば。明と暗、動と静。一日でそれら両方を体験した。