青森はタイ人がいっぱい

10月9日、仕事で青森へ行った。東北新幹線の新青森駅の改札を出るや否や、タイ語が聞こえて来た。10人くらいのグループだ。私は出迎えの方との約束よりも1時間前に到着したので、タイ人観光客をじっくりと観察することができた。そして、話しかけた。「寒い?」と尋ねると、一人は「いいえ」と答え、別の一人は「少し」と答えた。
 翌朝、泊まっているホテルの朝食時、またもやタイ語が聞こえて来た。家族や親戚で来ているらしい。その次の日も、また別のタイ人グループを朝食時に見かけた。タイ人達にとっては、日本の朝ごはんのおかずは味が無いのも同然。かといって、持参の唐辛子をふりかけている様子もない。
 仕事は1日半で終了。台風が来ているので東京に帰っても仕方が無いと思い、青森を観光することにした。そして、八甲田山へ行った。ロープウェイに乗ると、最後に駆け込んで乗って来たのがタイ人達であった。「わあ、満員だ!」と言っていた。
 仕事でお会いした方達が不思議がっておられた。「青森は何も見るところが無いのに、どうしてタイ人が来るんでしょうかね?」

椰子殻の中の蛙

この一年間、生徒さんの翻訳を添削しているが、私も一緒に作品を読んでいることになるので、とても勉強になる。最近はタイの格言集を題材としているが、子供向けに書かれているので読みやすい。
 例えば、「กบในกะลา 椰子殻の中の蛙」は、日本の格言である「井の中の蛙」そのものである。タイは椰子殻、日本は井戸。
 ความหมาย(意味)=หมายถึงผู้ที่สำคัญตนว่ามีความรู้มากแต่จริงๆแล้วมีความรู้ในกรอบแคบๆ 
 มีประสบการณ์น้อยเพราะไม่ได้ออกไปเจอกับโลกภายนอก
 格言集では、小学校の教師が子供達にこの格言の意味をよく理解させようと思って、子供達を2班に分けて、図書館やネットで調べるグループと、実際に現地へ出向いて行き、実物に触れて新しい経験を体得するグループに、それぞれの意見を発表させている。格言をただただ覚えるだけではなくて、実行を通して体験させるタイの教育に魅力を覚える。

今日の宿題

以下の文章をすらすらとタイ語訳してみよう。政治経済等の難しい話ではなくて、身近な話、そして、伝えたい話をタイ語にする喜びを覚えよう。

 「急なご相談、失礼します。 実は、一緒に暮らしている95歳の祖母が今週、39度の高熱を出し、まだ完治しておらず、一日中、介護が必要なため、とりあえず10月いっぱい休ませて頂きたいと考えています。
 祖母の回復次第で、クラスに復帰させて頂きたいのですが、可能でしょうか。もしも、もっと早く祖母が回復するようであれば、その時から復帰させて頂きたいです」

バンコクの「花の文化博物館」

華道講師から頂いた小原流の月刊誌『挿花 10月号』(No.829)の特集が「アメージング・タイランド」。若き家元がタイの花を使って、「花の文化博物館(The Museum of Floral Culture)」で見事な作品をつくり上げておられる。
 この「花の文化博物館」は、タイのフラワー・アーティストであるサクン・インタクン氏が2012年にバンコクのサムセーンに開館したとのこと。もしもバンコクに行く機会が有れば、是非とも行ってみたいと思う。
 サクン氏は王宮内の会場セッティングにタイの花をアレンジする仕事をするうちに、一般の人達にもタイの花文化を体感できる場所を設けようと思ったのが、「花の文化博物館」の開設のきっかけだったそうだ。
 タイは花が実に安い。そして、色鮮やかで生き生きとしている。花を目的にタイへ旅行すること、これもまた楽しかりけり。

タイ語で原子力は?

 タイ語で原子力という単語は、พลังงานปรมาณู という。読み方は、パランガーン・パラマーヌー。パランガーン(phalang-ngaan 力)+パラマーヌー(paramaanuu 原子)の合成語である。
 最近、一人の生徒さんから、タイ語の子音が重なっている単語の読み方や声調について質問を受けることが多い。私はまず原則的なる読み方を教えるが、さらに続けて、次のように言うことにしている。
 「読み方には例外が必ず有ります。理屈ではありません。パーリ語やサンスクリットからの単語は特にそうです」
 原子=ปรมาณู の接頭辞である ปรม は <パラマ>と読み、元来の意味は、「極めて、非常な、大いなる」。すると、บรม (ボロム、ボロンマ 至高の、至極の)という接頭辞がすぐに思い出される。前者は「パラマ」、後者は「ボロマ」。両者に使われている母音が一律ではない。
 スマホで原子力というタイ語を調べると、พลังงานนิวเคลียร์ (パランガーン・ニウクリア)となっていた。理科系の単語は英語をそのまま使う場合が多い。しかし、タイ語の単語の勉強だと思って、パーリ語やサンスクリットから由来する単語も面白がって勉強しよう。

語学センスが超抜群の新入生

昨夜、個人レッスンを受講される男性が入会された。3日前に申し込まれた時、「タイ人講師をご希望でしょうか? それとも、日本人講師でよろしいですか?」と尋ねたところ、「どちらでもかまいません」という回答であった。ネイティブ、ネイティブとうるさく言う方に対しての私なりの牽制であったが、柔軟性がお有りの方とお見受けした。
 実際の授業は、タイ人講師と私の二人で進めた。『タイ語入門』の第1課である「発音と声調」は、わずか40分で終わった。何故ならば彼の発音は完璧であったから。矯正する点は全く無かった。タイ人講師と私は、二人して同時に、何度も感嘆した。
 夜9時になったので、タイ人講師にはお帰りいただき、その後は私一人で午後10時20分まで指導した。彼は大学時代にフランス語を専攻し、現在はイタリア語を使う仕事に従事。ギリシャ語とラテン語も勉強したことがあるそうだ。そして中国語と広東語も学習済み。従って、声調言語にも通じている。
 私は久々に言語学的見地からタイ語を指導する機会に恵まれ、昨夜はとても幸せであった。話は世界の諸言語を駆け巡った。
 彼は泰日文化倶楽部がスタートした2ヶ月後に誕生したとのこと。欧米語にもアジア諸語にも通暁する超語学センスを有する生徒さん! 彼には独学の才能が有る。短時間で要領よく教えてあげよう。

今日の宿題

豊穣なる(อุดมสมบูรณ์)季節を迎えている。今日は「米」に関する表現をタイ語で書いてみよう。

 1)田植えをする2)稲刈りをする
 3)精米する4)米を搗く
 5)米を研ぐ6)米を蒸す
 7)ごはんを炊く8)ごはんを油で炒める
 9)おにぎりを作る 10)米をいる

さらなる問題: 米(ข้าว)が入った複合語(名詞)を、10語、書き出してみよう。

泰日文化倶楽部 祝31周年!

泰日文化倶楽部は1988年10月からスタートしましたので、無事に満31周年を迎えることができました。今日から32年目に突入です。
 31年間におけるタイ人講師、及び、生徒さん達、全ての方々に感謝いたします。

 昨夕、初代のタイ人講師から思いがけず連絡が入った。「先生、高田馬場のタイ語教室、まだやってますか? 今、東京です。お土産を渡したいです。ハチ公のところで待ってます!」
 私は急いで渋谷のハチ公まで行った。そして、西村フルーツパーラーへ行き、スクランブル交差点を眺めながら、いろいろな話をした。
 「僕は1989年に日本に留学して来ました。今、54歳です。同時期に留学して来た仲間が2名、人生の意味を深く追求するために出家しました。彼らは東大と名古屋大学を卒業しています。しかし、昇進することだけが人生ではないと考え、今は世俗から離れ、仏教に帰依しております」
 それを聞いて、はっとする気づきが有った。結論=タイ語教室を継続させること、それが私のつとめなり。

ワンコイン講座

昨日、三鷹市が主催する「ワンコイン講座」に出講した。事前情報では、タイ語の申込者が一番多いと聞いていたが、蓋を開けると、タイ語、ベトナム語、そして、韓国語の受講者がいずれも12名で、とても盛況であった。
 タイ語の場合、受講者名簿を見て驚いた。30歳代と40歳代が一人ずつしかおらず、あとは50歳以上。平均年齢はおそらく73歳位。 授業後、84歳のA氏から真面目な質問が有った。
 A氏:「タイ語を使う機会が少ない東京で、どのようにしてタイ語に触れ、どのように勉強すればいいですか?」
 私:「タイ人と結婚なさるといいですね」
 A氏:「私のこの年齢ではそういうわけにもいかず…..」
 私:「では、ロングステイでタイへ行かれてみてはいかがでしょうか? いずれにせよ、この悩みは1時間で回答が出るものではありません」
 と言って、私はA氏との対話を打ち切った。84歳の方に対して丁重に応対したかったが、残る11名の方達が授業を待っていたからだ。
 いずれにせよ、2時間10分、ノンストップの授業は笑いの渦につつまれ、あっという間に終了。