「タイ語上級 日曜日13:00」のクラスでは、30年前に編まれた小学校4年生の国語教科書を読んでいる。最近読んだ「美しい竹の家 บ้านไผ่สวยงาม」の話はとても示唆に富んでおり、感銘を覚えた。
あらすじはこうである。とある小村に生まれた少女センダーは幼くして、町に住む伯父さんの家にもらわれていった。しかし、彼女はしばらくして郷里に舞い戻って来た。そして、おばあさんとお母さんから直接、織物の教えを乞うた。綿花を植え、糸を紡ぎ、機織りをし、草木で染める方法をである。
少女センダーは成人後も村にとどまり、次から次に固有の模様を考案し、美しい布を仕上げていった。それは誰にも追随を許さぬ見事な腕前であった。
それを聞きつけた日本人がやって来て、ぜひともこの模様を織ってほしいと頼んだ。ところがセンダーおばさんは、「自分は自分で考案した模様しか織りたくない」と言って、日本人の要望を一蹴した。そして、タイ固有の伝統を守り、継承するために生涯を捧げた。
30年前と言えば、日系企業がタイに進出した第二次ブームの時期に相当する。エコノミック・アニマルと呼ばれた日本人を、賢明なるタイ女性は受け入れなかった。