『ホテルからアジアが見える』という本

昨日、午後から全く自由な時間ができたので、早稲田の古本屋街へ出かけた。買った本は3冊。その中の1冊が、『ホテルからアジアが見える』(青木保・編著、海竜社 2001年)だ。青木保氏の次なる文章が気に入った。
 「時の移り変わりはホテルにおよぶ。ときを超えるホテルというものは、例外はあってもアジアでは存在するのがむずかしい。あまりにも変化が激しいからだ。また生活文化にも持続性が乏しい。ホテル資源の豊かなバンコクであるが、これらの課題の最たるものは文化の深みをどのように感じさせるかにあると思う。これはタイ社会全体の問題であるといってもよいであろう」
 青木氏は1965年に初めてタイへ行かれたようだが、彼は「ホーテン・チン(シナ宿)」のことにも言及しておられる。私が1972年からタイ語を教え始めた頃は、ホテルのことを、「ローングレェ-ム」以外に、「ホーテン」とも教えていたので、とても懐かしい感じを覚えた。
 いずれにせよ、私にとってのバンコクのホテルは昔のエラワン・ホテルだ。そして、現在、サイアム・パラゴンになっている場所に建っていたインターコンチネンタル・ホテルが思い出深い。低層階で、孔雀が羽根を広げたみたい。庭が広かった。日本のビジネスマン達にとって、ODAのビッグなプロジェクトを獲得するためには、このホテルに宿泊し、朝、このホテルから出発するのが吉祥願いの願かけであった。