バンコク第2日目の夜は、泰日文化倶楽部の元生徒さんとお会いすることになっていた。彼が教室で使用していた通称は一休さん。バンコクに就職されたのが去年の4月。彼と会う場所は、エカマイのゲートウェイ。彼から「夕方6時頃のBTSは、山手線並みの込みようですよ」と言われていたので、午後3時半に現地到着。
ゲートウェイに入って驚いた。日本料理店ばかりであったからだ。2階に上がると資生堂系列の美容院が有った。時間つぶしのために髪でも切ろうかなあと思ったが、600バーツだったのでやめた。そして、ゲートウェイを出た。周辺にあるタイ人向けのローカルな美容院へ行くことにした。
美容院は道路1本隔ててすぐに見つかった。シャンプー台は昔のままで、水を使っている。爪を立てて、ガリガリ。すでに客がいたので、私はベンチに座って待つことにした。すると、美容師がタイ字紙を無造作に私につきつける。「新聞でも読んでてよ」、と言わんばかりに。
私の横にいた若いタイ女性は足を盥にひたし、手にマニキュアをしてもらっている。古風な美容院。ここは常連の客達でもっているようだ。因みに、カット代は250バーツ、そして、マニキュア代は100バーツ。
古ぼけた小型テレビ。その画面を見ると、2日前にビッグシーの前で爆弾に遭って死んだ二人の子供の父親がテレビ出演していた。美容師は客に向かってすかさず言った。「お父さん、いい男だね!」
幼い姉と弟が死んだことは大きなニュースになっていたので、そのようなことを言う美容師をあれあれと思った。だが、悲しみを打ち消すために楽観的な見方にすり替えること、それがタイ人の知恵なのかもしれない。