7月4日のブログで「石庭」と題した短文を書いた。すると、翌日、思いがけず、郷里の丸亀から電話が有った。
「2年前の7月2日、西日本豪雨で崩落した丸亀城の石垣を修復するに際し、お宅の庭石が石垣に最適なので譲って欲しいと言っている石屋がいます。どうですか?」
それを聞いて、私は供出を二つ返事で快諾した。
丸亀城は1597年に築城開始。1602年に完成。しかし、現在の城の形を成したのは1660年。私の家の庭石も江戸時代からのものであることは確か。とすると、同じ歳月を重ねた石として、石垣にはもってこいというわけだ。
家を解体した時、3分の2の庭石を廃棄した。今、それらの石がどこへ行ってしまったかは杳として知れない。しかし、残りの3分の1の石が、このたび丸亀城に参内することとあいなった。
「日本で最も美しい石垣の丸亀城」として、今後、百年、2百年と歴史を刻んでいくかと思うと、とても名誉なことである。石は動かないものと思っていたが、動く時は動く。 そして、納まるべきところに納まる。