ニタット先生御夫妻は私をお粥の店に連れて行ってくださった。その店は、ワット・ボーウォーン二ウェート寺院の前に在った。この寺院は、ラーマ9世が出家なさった寺であり、なおかつ、御遺灰が安置されている寺であることは知っていたから、私も是非ともその近くまで行ってみたいと希望した。
「先生は足がお悪いから、お粥屋の前で車を止めて、そこで降りていただき、私はどこか空いているところの場所まで行って、そこに車を停めて来ますね」と、プリンセスが言った。そこまでの気遣いに恐縮する私。だが、車が店の前に来ると、偶然にも食べ終わった客が車に乗り込んで発車するところであった。
「อาจารย์มีบุญ アージャーン ミーブン 先生には徳が有りますね!」とプリンセスに言われ、なんだか嬉しくなった。わざわざ東京から飛んで来た甲斐があった。
そのお粥の店は、「ข้าวต้มหน้าบวร カーオトム ボーウォーン」と言って、御葬儀の日は全ての客に食事を無償で提供したそうだ。いわゆるทำบุญ(タムブン)である。