時計が止まった。そこで53年、お世話になっている時計屋へ行き電池交換をお願いした。「以前に来たのは1年半前だったかしら?」と尋ねると、店主はすぐに答えた。「丁度2年ですよ」、と。私の時計の中には彼が電池交換の日付を書いたものを入れてある。だから、すぐにわかる。53年の間に、最初の職人さんは去り、二人目の方も亡くなり、今は三人目。丁寧な仕事をしてくださる。
私の時計はGrand Seiko。30年前から使っている。私の名前のKeikoと語呂合わせでセイコー(Seiko)を愛用しているというわけだ。
最近はカタカナ書きの社名が多いが、私の頭の中には、「精工舎」という漢字がしっかりととどまっている。その漢字の意味にふさわしく、セイコーの時計は精工にできており、その精度、精巧、精髄が永遠に受け継がれているといえよう。