今月末から、新しいフランス語講師をお迎えするにあたって、フランスに関する本を読んでみたくなった。料理やファッションだけの単語ではいけないと思ったからである。前の講師がアルジェリア系のフランス人であったので、『移民と現代フランス』(ミュリエル・ジョリヴェ著 集英社新書 2003年)を読んでみた。その中に、1979年にカンボジアからタイ経由でフランスに行ったカンボジア男性の言葉が印象的であった。少し、長くなるが、引用させていただく。
「フランスに着いたとき、まずフランス語を勉強しなければいけないと考えました。カトリーヌの知り合いの女性に教えてもらいました。夜遅く勉強したんですが、いまでもカンボジア語ーフランス語の辞書を思い出します。私はほとんど全頁暗記しました。言葉を学んだのは、仕事をするためでした。もしいつかフランスを離れて、アメリカや他の国へ行くとしても、私はやはり言葉を学ぶことから始めます」
タイ語を習う日本人は、趣味やボケ防止だという方達が多い。それはそれで幸せだ。だが、移民は違う。より良き仕事にありつくには、必至で言葉を勉強する。