バラ色の人生

昨日、K氏の「お別れ会」に参列した。無宗教のため読経も賛美歌も無かった。代わりにK氏の希望を聞き入れて、「バラ色の人生」と「リラの花咲く頃」の2曲が流れ、会葬者が故人を偲んだ。戦後生まれで神楽坂育ちであるK氏の粋が感じられた。

棺の中には彼がこれまで勉強して来た証として、数々の卒業証書や修了証が納められた。彼が日々、詠んだ短歌を印刷したものも何十枚と添えられた。そして、最後に泰日文化倶楽部のテキストである『タイ語中級』と『タイ語中級Ⅱ』がいずれも広げて彼の胸元に置かれた。彼はご家族に「黄色い表紙のタイ語中級を棺に入れてください」と強く念を押していたそうだ。

棺の中で表紙に書かれている「吉川敬子」の字を見て涙があふれた。彼が天国でもタイ語を勉強なさる意欲にあふれているのであれば、時々、彼にテレパシーを送ろう。いずれにせよ、彼が今年1月末に提出した宿題の添削をお返しする機会が無かったことだけは残念である。