帯締

 先日、銀座へ行った時、呉服店で帯締を買った。定価1万4千円が5千円だったからである。帰宅してその帯締をよく見ると中国製であった。道理で安いはずだ。
 着物の仕立ては中国を越えてベトナムでなされていることは知っていたが、和装の小物までもがもはや国内ではない。着物を着ても、体だけが日本製で、あとはすべてアジア製。そういう日も近いであろう。
 帯締は着物の要である。どんなに美しく着物を着ても、帯締で帯を締めないと帯が垂れてしまい見苦しくなる。そして人々の視線は帯締にも厳しく注がれる。
 日本で帯締を織っている方達は大勢おられるが、出来上がった時の値段はおそろしいほど跳ね上がっている。美しいが高すぎる。日本の伝統文化が先細りになることは悲しいかな否めない。