昨今、昔の着物を洋服に仕立て直すことが流行っている。デザイナーのおかげでデザインが良くなっているので、一点物としてお気に入りになりそうだ。
そこで私も親が作ってくれた50年以上も前の着物を時間があればせっせとほどいている。そしてほどきながら気づいたことがある。
それは、着物の作り方がわかることはもちろんだが、縫った人達の丁寧な仕事ぶりが実によくわかるということ。見えない部分まで針が均一間隔できちんと運針されているのは見事といえよう。
伝統の仕事というものはその場限りで終わるものではない。長く積み重なり、浸透し、そして後世にその技術が伝わってこそ、息長く光を放つ。