いのち暗い時代

「いのち暗い時代になりつつあると思う。時代がそうであるばかりでなく、いま生きている人々、その一人一人において、いのちが暗くなっているように思える。時代にいのちの輝きが感じられないのも、一人一人におけるいのちの暗さの表われなのかも知れない」

この文章は、『いのちの優しさ』(高史明著 ちくま文庫 1987年)のあとがきの冒頭に書かれた一節である。発行年を見て驚いた。2025年にそっくり当てはまるではないか。著者の高史明氏は2023年7月に91歳で逝去された。彼の経験値にもとづくいのちに関する考察は、現代にもそのまま通じると言えよう。

東京は毎日のように人身事故が有る。そして電車が止まる。何とかならないものかと思うが、何とかならないのだ。いのちの尊さを自分自身に言い聞かせるにはどうすればいいか。学校では教えてくれない。