昨夜、「ねりま演劇を観る会」主催の第236回例会 劇団青年座公演「時をちぎれ」(作:土田英生)を鑑賞した。この劇の特徴は、慣用句や故事成語が台詞の中にたくさん散りばめられていたことである。ただし、わざと間違いだらけにしているから、観客は一瞬、首を傾げるばかり。
たとえば、「弘法も木から落ちる」とか、「猫に真珠」とか、「飛ぶ鳥を追い越す勢い」とかである。劇の中で社長が平気で間違った故事成語を連発する。だが部下達は何も言えない。ところがである。それを研修生としてやって来た頭脳明晰な若い女性が堂々と正していく……。
ネット社会においては無駄な会話が歓迎されない傾向にある。年配の上司が使う言葉はうざったい。かくして、慣用句や故事成語は次第に消えて行くであろう。残ったとしても、案外、間違って覚えたりしそうだ。聞いて、一瞬、変だと思っても、もはや誰も注意しない。