吾亦紅(ワレモコウ)は9月から11月にかけての花である。生け花クラスでもこの時期になると必ず生ける。ただし、主枝にも客枝にもなれない。あまりにも可憐だから…..。だが、華道講師は毎年、こう説明することを忘れない。「吾亦紅の命名の由来は、<私も紅いのよ>、と言って、しっかりと自分を主張しているところにあります」
あらためて吾亦紅の花を調べてみると、綿棒の先くらいの大きさの花房の中に、裁縫針の頭くらいの小花がびっしりと密集していた。若葉は食用に、そして根は薬になるとのこと。ほぼ生けあがった花瓶に吾亦紅を最後に添えると、全体がものすごく情緒的になり、秋のもの悲しさが漂う。しかし、しっかりとした主張が聞こえてきた。「私も紅いのよ。私のことを忘れないで」