今月初めに時計の電池交換をしたばかりなのに時計の動きが悪い。30年使っているからそろそろ寿命かなあとは思ったものの、再度、時計屋へ行き、どうなっているのか確かめてもらった。古い油が残っていて、それが悪さをしていたことが判明。
点検中、店主と雑談。長年、勤務していた忠実な職人さんが去年、亡くなったことを聞かされた。「彼は定時に出勤し、定時に帰宅しました。1分たりとも狂うことはありませんでした。うちの店の都合により1時間早く帰宅してもらったことが一度だけ有りました。すると、奥さんが言ったそうです。馘になったの?、と」
それを聞いて、モーパッサンの小説のネタになりそうだと思った。そして、「punctual 時間厳守」という単語がすぐに浮かんだ。中学の英語の教科書に出て来た単語だ。「几帳面な」という意味も有る。時計の如く、几帳面な人生を送った時計職人さん。ひとつの人生である。