祇園囃子

あと2週間もすれば祇園囃子が聞こえて来る京都。『洛中巷談』(潮出版社 1994年)の中の「<伝統文化>と民衆の心」という章で、吉田幸次郎氏(染色や西陣などの伝統文化を研究)は近場の人から「囃子の笛は子供でも簡単にマスターできるんですか」という質問を受けた際、次のように答えている。

~いえ。まず、鉦を十年ないし十五年かかって覚えるんです。その間に、太鼓のリズムも笛のメロディーも体にしみ込んでくる。しみ込んだところで太鼓方になる。笛方になる。~

吉田氏はさらに面白いことも追加して言っておられる。「八十のじいさんから小学校の一年生までが同じ一座になってけいこをするでしょう? そうすると、大人はまあ、ひわいな話もしますわな。<中略> これがものすごく刺激になるみたいですね」 なるほど、言葉を覚えるには刺激が必要なり。