犬と少年

先日、運動のため家から教室まで歩くことにした。東京で一番急峻な坂の下で、小太りの犬がぐったりしている。80歳前半のおばあちゃんが飼い主で散歩の相手。学校帰りの少年が犬のそばに行くと、犬は道路の真ん中から道の脇まで移動した。なんだ動けるじゃないか。救急車を呼ぶまでもなかった(笑)。

ぐったりとしていた理由をおばあちゃんに尋ねると、多くの人に撫でてもらいたいだけだと答えた。そこで少年が撫でた。私も撫でた。犬はぐるりと体を回し、大きなお尻を我々に向けてきた。お尻も撫でてということらしい。

犬の年齢は8歳。老犬ではなかった。単なる甘えにすぎなかったようだ。面倒をみてくれる飼い主もいいが、散歩の途中くらい他の人達にも関心を持ってほしいという犬の甘えが限りなく愛おしかった。少年の表情がこれまた限りなくあどけなかった(ไร้เดียงสา)。