『池袋モンパルナス そぞろ歩き』(尾崎眞人監修 池袋モンパルナスの会発行 2004年)という小冊子が手元に有る。尾崎氏が「池袋モンパルナスの作家たち --100人の竣介と100人の靉光」という小編を寄せているが、その中に、池袋モンパルナスの名付け親である小熊秀雄(画家)の文章(1938年)が引用されている。
~売れることなく制作するだけの、純化された創作と寝食の「長崎アトリエ村」空間と、恋や音楽、文学、酒が胸の高鳴りを高揚させる「池袋モンパルナス」空間の間で、作家たちは生活した。貧しさの中、聖と俗の背中あわせで、何者になるかわからぬ者たちは「知られざる傑作」を創っていた~
現代のスマホ時代からはほど遠い環境の中で生み出された芸術。そして陽の目を見ることもなく消えて行った絵画。しかし、当時の若者達の情熱は池袋、椎名町、長崎、要町の地下に眠っていると思おう。