昨日、『あん』(河瀬直美監督・樹木希林主演)を観るため、9時半に池袋の新文芸坐へ行った。遠くから見ると、人が並んでいる。あわてた。しかし、彼らはパチンコ客であった。
帰路、南池袋に在る古本屋に寄ってみた。店内の様相が変わっていた。店主に尋ねた。「アジア関係の本が一切、無くなっていますが……?」 店主は答えた。「ああ、アジアの歴史本はやめました」
なんだか淋しい思いがした。だが古本屋が続いていることに安堵。それだけでいい。多くは望まない。
『小林英雄対話集 直観を磨くもの』(新潮文庫 平成26年刊)を購入。対話の相手は錚々たる人物だ。三木清、三好達治、梅原龍三郎、五味康祐、横光利一、折口信夫、大岡昇平、今日出海、湯川秀樹、福田恆存、永井龍男、河上鉄太郎。私の大学受験時代の出題に出て来た文化人ばかり。読んでいると昔の世相にタイムスリップ。
もう一冊は、『光のくだもの』(大岡信 小学館 1992年11月発行)を購入。詩人である大岡氏の言葉は研ぎ澄まされていて、ぐさりと来る。