先日、猛暑の中、日暮里駅北口から「夕焼けだんだん」を目指して歩いた。そこには着物のリサイクル店「悦」がある。店主はとても品のある女性だ。決して押しつけがましくない。親身に相談に乗ってくださる。
「初釜に締める帯を探しているのですが」と私。
すると、彼女が一番目立つ場所に飾ってある帯を指差した。
「HPにはまだアップしてはいないのですが、この鳥獣戯画の帯はいかがでしょう?」
正月早々から動物もどうかと思い、私は乗り気にならなかった。そこで、店主は次なる帯を勧めた。それは狩野永徳で有名な「洛中洛外図」を模した絵図であった。戦国時代から安土桃山にかけての京都の町中と人々の生きざまが詳細に織り込まれていた。有名寺院と松、高貴な人々、山鉾巡行、それだけでも目出度い様相を呈しているが、米を運んで来る人もいれば、薬売りもいて、皆、都を目指している。そして、南蛮人も…..。
帯を締めた時、まったく隠れてしまう帯の端。そこに目をやると、なんと路上で「闘鶏(ชนไก่ チョン・ガイ)を愉しんでいる庶民が大勢いた。実に楽しそうだ。