おかっぱ頭

 ティウ先生が、最後の授業の時に、「日本の女の子はおかっぱ頭が好きですね。私にはわかりません」と言って、白板に絵を描いた。大きな額に何本も髪の毛をそろえた絵であったが、目と口は顔の下のほうに小さく、細く、ちょんちょんと並べるだけ。彼女の日本女子に対するイメージはそんな感じであったのか……。
 ところで、おかっぱ頭の髪型をタイ語では「馬の顔 หน้าม้า」と言うそうだ。馬の頭の髪の毛が馬の顔にきれいに並んでいるからとのこと。白板に絵を描いたのはそのための理解を導入するためであった。
 私は市松人形の写真を見せて、日本人はこの人形が大好きであることをティウ先生に教えてあげたが、反応はなかった。やはり、おかっぱ頭が嫌いなのであろう。
 「馬の顔 หน้าม้า」には、もう一つの意味がある。客を誘う時に使うあの「さくら」のことだ。馬肉のことを別名「桜肉」というが、この語源の由来は諸説様々。おっと、おかっぱ頭から桜肉に脱線すると、話がとまらないので、今日はこれで終わりとしよう。