物故者名簿

 入院中、テレビも新聞も不要であった。スマホでネット検索ばかりしていると全く退屈しなかった。検索項目の一つとして、2015年から2017年の物故者名簿を見てみた。大学時代に教わったフランス文学の教授が今年3月に90歳で亡くなっておられることを知った。彼女のしなやかなスタイル、キリリと光るセンス、そして、「女性学」の一環として、フランス文学に登場する女性像を熱く語って聞かせてくださったのは50年前のこと。
 物故者名簿には各界で著名な方達が載っているわけだが、どんなに著名であっても、書かれているのはわずかに2行。生年月日と死亡日、及び、何をしたかという肩書がほんの数文字で表されているだけだ。
 それを見ながら、「どんな人であれ人生は2行なり」、と思った。そのうちの1行は生年月日と死亡日で埋まるから、あとの1行こそが勝負だ。濃い人生を行くか、淡々とした人生を選ぶか…..。いずれにせよ、1行なのだ。