郷里の墓の草取りをしていたら、少年達の声が聞こえて来た。「みんな、何年生?」と尋ねると、「小学4年生」とすぐに答えてくれた。世話役のおじいさんが「さあ、みんな、廊下の拭き掃除をするんだよ」と号令をかける。少年達は廊下を拭き始めた。ところがお寺の若い大黒さんが現れて、「手にとげが刺さってはいけませんから、拭き掃除はしないでください」と言った。ちょっと心配し過ぎではなかろうか。
少年達が静かになった。本堂で住職さんから習字の手ほどきが始まったからである。まるで昔の映画の一場面を見ているようであった。彼らはお寺で一泊するそうだ。夜遅く、お墓の中を走り回って肝試しをするのもいいかも….。ゲームよりは、きっと思い出多き夏の林間学校になるにちがいない。