日豊線に乗っていると、「駅員がいない駅では、切符を箱に入れてください」という車内放送がたびたび流れた。臼杵駅に着いて改札を出ようとすると、やはり箱が置かれてあった。駅員はいたものの、彼は切符の販売にあたっているだけ。不正乗車をする人はいないのであろう。というよりも、人を疑ぐることをしないお国柄とみた。
駅前に唯我独尊の仏像(レリーフ)が鎮座ましましていた。タクシー乗り場にはタクシーがいなかったので、宿まで歩くことにした。かといって、はっきりした場所は知らなかったので、街の散策を兼ねてぶらぶら歩きとなった。途中、臼杵城址の横を通った。城下町で育った私には、臼杵の街の雰囲気がすぐに親しめた。
散歩をしている人に宿を尋ねると、宿まで連れて行ってくださった。「おやど 蔵」は、古民家を移築したもので、内部はホテル形式になっていた。