『日本人は何を捨ててきたのか』(鶴見俊輔・関川夏央の対談集 筑摩書房 2011年)を面白く読んだ。その中に、徳川夢声(弁士。作家。1894-1971)のことが書かれてあった。
弁士とは、<活動写真弁士>の略語である。そういえば、映画のことを、昔の人は<活動>といっていたことまで、なつかしく思い出された。
無声映画というものを映画館で一度だけ観たことがある。もちろん、徳川夢声の記念特集という企画で。白黒の画面の中で、彼の声が一コマ一コマを自由自在に斬りまくった。
今のテレビは雑多な音が垂れ流しである。真面目に聞きたいニュースですら、民放ではおどろおどろしい音楽をつけてドラマ化している。
徳川夢声の語りがもう一度聞きたい。彼の話術の中にみられる間の取り方、そして、落ち着いた語りをもう一度…..。