マンション管理会社が配布する生活情報誌の最新号は、「未来予想図のススメ」というものであった。一体、どんなものであろうかと興味を覚えてページを開く。だが、それはモデル家族の一生に関するライフサイクルであった。
縦軸に、①ご夫婦の未来、②お子さまの未来、③住まいの未来が書かれており、横軸には、取り上げるべき課題として、①お子さまの教育、②お子さまの教育資金、③住宅の補修費用、④リフォームの希望と資金、⑤保険の内容チェック、⑥ご夫婦のシニアライフの夢、⑦ご両親の介護と相続、⑧シニアライフへの準備、⑨ご夫婦の終活、が列挙されている。
こういう発想は、家族を持っている人を対象にしているから、結婚をしていない人間にはほとんど関係が無い。絵に描いたような家族生活を一生、営み続けることができる人は幸せかもしれないが、なんだか、マンション会社や保険会社に踊らされて生きているような気がしないでもない。
きちんとした人生計画のもと、死ぬまで完璧さを求めて自分、及び、家族を律するならば、無味乾燥で、なんとつまらないことか。そこに小説は生まれない。