一昨日、アジア・アフリカ語学院へ行くために、新宿から中央線に乗った。たまたま席が空いていたので、これ幸いと思い座った。ところが左隣りに座っている女性が化粧を始めた。新宿から荻窪までの12分間、マスカラでまつ毛を塗る動作がうっとうしくてたまらない。降車駅である吉祥寺までもう少しだから我慢しようと思った矢先、隣りの女性が私に話しかけてきた。「八王子はまだですか?」
その口調を聞いて、日本人ではないことがすぐにわかったので、「どちらのお国の方ですか?」と尋ねると、「タイです」と、彼女は答えた。
それを聞くや否や、「サワッディー・カ」と私はすかさず言った。そして、先ほどの不愉快さは忘れ、吉祥寺に着くまでの5分間、タイ語でしゃべった。
「八王子にあるタイのお寺に行きます。明日13日がソンクラーンだから、お参りに行くのよ」
なるほど、それはいいことだと思った。20年、東京に住んでいるそうだ。名刺をくれた。姓が日本人の名前であった。名前の後ろの括弧にタイの愛称を書いていた。その愛称は、泰日文化倶楽部の先生と同じものであったので、思わず苦笑した。