「ゲートウェイはエカマイ駅から通じています。鳥居がありますから、そこで6時に待っていてください」と、一休さんに言われていたので、その通りにした。小さな鳥居を想像していたが、意外にも大きかった。「北海道」という店に入り、鍋を注文。テーブルの上で魚や野菜を入れながら食べるのかと思ったら、厨房ですでに作ってきた鍋が提供された。出しが黄色いので、一体、何であろうかと思ったが、それはバターを溶かしこんでいるからであった。
近くの席で、日本人男性とタイ女性がにぎり鮨を食べていたが、全く違和感がなかった。40数年前のバンコクには、「大黒」と「赤門」という日本料理店しかなかった。それが今はめちゃくちゃに増えている。私の友人で1968年頃、タイで仕事をしていた話が思い出された。
「僕が病気になった時、タイ人の彼女が大黒に行って日本料理を買おうとしたら、門前払いに遭ったことがあるんだ」
ところで、一休さんとの会食は実に楽しかった。昨年12月に帰京された折り、泰日文化倶楽部に寄ってくださったので、バンコク生活の様子はすでに分かっていたが、現地で聞くお話は臨場感が有ってよかった。すっかりタイ人社会に溶け込んでおられるので、全く問題が無い(ไม่มีปัญหาอะไรเลย)。
帰り、エカマイ駅からBTSに乗って、アソーク駅で降りる。9時半であったが、反政府グループのアジ演説が聞こえた。そこで、道路封鎖されているアソーク交差点周辺を歩く。ステージ上で演説していたのは中年女性。スクリーンに大きく映し出されたその女性の顔は、理知的で、エリート風であった。勝手な想像をするならば、女医さんかもしれない。聞くところによると、アソーク周辺にある医院の医者達の多くはデモに参加しているそうだ。