昨日も、多忙な仕事の合間を縫って、台湾青年が個人授業を受けにやって来た。吸収力は抜群でいつも感心しているが、彼の素直さがこれまた実にすばらしく、それが一体どこから来るものかと、いつも不思議でならなかったが、昨日、その理由がわかった。
「タイ語を勉強する理由は何ですか?」と、もう一度、基礎的な質問をすると、「答えるのはむずかしいです」と言った。それ以上、尋ねると嫌がられる惧れがあると思って、会話は終わった。ところが、授業が終わった時に、理由を教えてくれた。
「私は仕事でスキルを磨き、仕事がよくできるようになっていくにつれて、自分の中から謙虚さが消えて行くのを感じております。それを防ぐために、何か新しいことを始めて、初心に戻るようにしているのです」
それを聞いて、私は彼から大事なものを教わったような気がした。生徒として私の前に座っていた彼が、その瞬間、私の師となった。