<食い逃げ> をタイ語で言うと

太陽君が東京にやって来たのは6月14日。2ヶ月以上、お世話してきたが、いよいよ明日、東京を離れることになった。「そんなにまでお世話するということは、彼の家に対して相当の恩義を感じるものが有るからですか?」と訊いてくる人がいるが、そんなものは何も無い。有るとすれば、彼の母親が20年前に、泰日文化倶楽部で熱心に教えて下さった恩義をいつまでも覚えているので、私は息子さんに優しくお返しているということであろうか。
 太陽君は美食家である。昨晩、面白い表現を教えてくれた。「<食い逃げ> という言葉を教えましょうか。กินแล้วชักดาบ と言います。<食べ終わると、刀を抜く> というのですが、これは日本映画のシーンから採用されたんです。サムライが団子を食べたあと、金が無くて、食台をひっくり返し、刀を抜くシーンから採ってます」
 私は言った。「太陽君が食い逃げするのは大丈夫。私がちゃんと払っておきますからね」