繰り返して観る映画

『殉愛 原節子と小津安二郎』(西村雄一郎著・新潮社 2012)を読んだ。原節子と小津監督の二人のことが主題ではあるが、二人の周辺にいた映画人や家族との絡みが詳細なる調査のもと、事細かに描写されているので、戦前戦後の銀幕のことがあらためてよく分かった。

著者の西村氏が小津作品を繰り返し観ているのは映像ディレクターとして当然だが、特に10年毎に意識して観ているそうだ。すると、ご自分が年齢を重ねるにつけ共鳴部分が多くなり、小津監督の映画に通底する無常感(=孤独、寂寥、枯淡、清澄)が再認識されるとのこと。

今年は特に暑い。いや暑すぎて言葉にならない。映画館で往年の映画を観て、過ぎ去りし時代のシーンの中から人間とは何かを考えたい。

今日の語彙

1.海岸      2.海原

3.海図      4.海峡

5.航海船     6.航海士

7.雲海      8.樹海

9.海藻     10.海豚

11.海月    12.海星

和裁講師

友人から、「和裁を教えることができる方をご存知であればご紹介ください」と言われた。そこで、20年間、和裁教室に通い、何枚も着物を縫った経験をお持ちの方が「タイ語中級 水曜日17:30」のクラスにおられるので、昨夕、この話をもちかけると、和裁教室の経緯を聞かせてくださった。着物を縫う基礎段階の運針のところで離脱して行く人を何人も見たそうだ。

元生徒さんにもあたってみた。すると和裁のプロをすぐに見つけてくださった。しかし、金額面で折り合いがつかない感じが見てとれたので、やんわりとお断りした。

友人は浴衣が縫えるようになりたいと思っているが、その浴衣にこそ、和裁の基本がすべて盛り込まれているとは、プロの弁。まずは運針からといっても、その運針にも数段階が有り、それを終えると、やっと浴衣の袖を縫うとのこと。生徒達は運針の段階で離脱。和裁なんて、浴衣なんて、と簡単に思っていたが、いやはや驚き桃の木山椒の木である。

3つ、覚えましょう

昨日の授業の時、大阪万博のタイ館へ行って来た生徒さんから土産話を聞いた。並ばなくてもすぐに入れたそうだ。館内のタイ人スタッフから、「タイ語、3つだけ覚えてくださいね。マイペンライ、サバーイサバーイ。マイペンライは気にせず、ゆっくりゆっくり。サバーイ・サバーイもゆっくりゆっくり。そして、3つ目に覚えてほしいのは、プラテート・タイ。タイ国です」

一緒に行った生徒の妹さんが言ったそうだ。「ずいぶん、ゆっくりゆっくりの国なのね」

1ヶ月、前倒しに始まった猛暑。果たして、7月、8月、9月を無事に乗り切れるかが心配になってきた。「マイペンライ」と「サバーイサバーイ」をお経の如く唱え、「日本国におだやかな日々有れ!」と願おう。

今日の翻訳

『คติชาวบ้านกับการพัฒนาคุณภาพชีวิต』(โดยรองศาสตราจารย์ผาสุก มุทธเมธา / สำนักพิมพ์โอเดียนสโตร์ พ.ศ.๒๕๓๐)の中の“ปริศนา”の中から一部を取り上げて出題する。出題文を訳した後、それが何を指すのかを考え、答をタイ語で書いてみよう。

๑. อะไรเอ่ย รูปร่างกลมเหมาะสมดี นอกขาวสำลีสีเหลืองข้างใน

๒. อะไรเอ่ย หุบเท่าแขน แบนเท่าถาด มีความสามารถกันแดดฝน

๓. อะไรเอ่ย มองไม่เห็นตัว อยู่ทั่วทุกแหล่ง ถ้ารุนแรงบ้านพังทลาย

๔. อะไรเอ่ย สี่ตีนเดินมา หลังคามุงกระเบื้อง

๕. อะไรเอ่ย ทุกคนยืนตรง ดึงลงเช้าเย็น เราจะแลเห็น อยู่บนยอดเสา

池袋の半日

昨日、午前8時上映開始の『国宝』を観るため池袋サンシャイン近くの映画館へ行ったが、満席で入れなかった。最近はネット予約の時代なんだ….。そのまま帰宅するのは悔しい。サンシャイン通りに在る別の映画館で8時50分開始の『国宝』があることがわかったので、しばらく待ってから鑑賞。こちらは有人窓口でも切符が買えた。

鑑賞後、映画館が入っているビルのB2に在る回転すし店へ。すべてセルフ。タブレットの使い方がわからなかったので店員さんに教わる。店員さんはネパール女性。丁寧な日本語だ。マニュアル通りに訓練されているとはいえ素晴らしい。

サンシャイン通りからグリーン大通りに出ると街頭演説が聞こえて来た。池袋駅東口のロータリーからだ。誰がマイクを握っているかはすぐに分かった。政治家の中でもはっきりとした発声をする人だから。警官がたくさん警戒しておりものものしかった。私は南池袋の古本屋へ移動。小津安二郎監督関連の本を買い、夏市をやっている鬼子母神堂そばの古民家カフェでスイカジュースを注文した。

カジュアルエレガンス

日本橋のマンダリンオリエンタル東京でお茶をしようと思ってドレスコードを調べると、「カジュアルエレガンスまたはスマートエレガンス」と書いてあった。具体的にはどんなものかとさらに調べると、「野球帽、タンクトップ、ハーフパンツ、カジュアルサンダル、ビーチサンダルは避けるように」ということであった。これなら常識の範囲内だ。とはいえ、バンコクのオリエンタルホテルを思い出した。

夏本番がやって来た。ホームで立っていると、シースルー(see-through)の長いスカートをはいた女性達をたくさん見かける。今年の流行りなのであろう。しかし、どきりとさせられる。特に都内に於いて高田馬場は多民族化が進んでいるから服装も多様。はらはら、どきどきするのは私だけであろうか?

今日のタイ語作文

1.木曜日クラスの生徒さんが、「明日から主人と台湾へ旅行します。先生、何か欲しいものがありますか? 月並みですと、パイナップルケーキになりますが」と言った。

2.私は台湾の高級烏龍茶が欲しかったが、遠慮が有って、とても言い出せなかった。

3.タイからの土産は乾燥マンゴーが軽くていい。石鹸は重すぎる。

4.韓国土産なら柚子のジャムがいい。海鮮キムチも美味しい。

5.ベトナムからだとコーヒーかな? しかし、ベトナムコーヒーは普通のコーヒーと異なり、淹れ方が独特である。

土佐料理のお品書き

昨夜、日本橋の土佐料理店で、元生徒さんの還暦と定年退職を御祝いした。彼は和歌山県在住。再就職した会社関連のセミナー参加のため上京したそうだ。会うのは数十年ぶり。ゆっくりと話したかったのであらかじめ個室を予約。「個室ならコース料理でお願いします」と店側から言われたので、それに従うことにした。

テーブルの上に置かれたお品書きを見ながら、日本料理の命名の美しさにあらためて気づかされた。前菜=南京豆腐・琉球蛸の生姜酢和え・和牛吟醸焼き・川海老の唐揚げ・鮮魚の引き皮煮凝り// 吸物=水雲椀//  造り=鮮魚お造り二種(鰹と伊佐木の焼霜・湯葉刺し)//  焼物=仁淀川天然鮎の塩焼きとメヒカリ一夜干し// 強肴=炭火焼 鰹とウツボのたたき//  煮物=米茄子と四万十鶏の霙煮//  食事=寿司と一口鯛出汁素麺//   甘味=水羊羹・焼茄子アイス

土佐といえば「鰹」だ。「鰹」は「勝男」、そして、「鯛」は「目出度い」、「茄子」は「成す」、と解釈すれば、何とも幸先が良い品揃えであったことか!

終わりが見えない稽古ごと

先週、「アジア女性のための生け花教室」を開催した。花材は、ナツハゼ(夏櫨)+姫百合+擬宝珠。華道講師曰く、「ナツハゼは夏に紅葉するので我々の眼を一足早く楽しませてくれます。しかし、山の中に入ってナツハゼの枝を採取してくれる方達が高齢化しているため、今年が最後になるかもしれません」、と。

ネットでナツハゼ(夏櫨)のことを調べると、成長が非常に遅く、したがって実をつけるのに10年から20年もかかることが分かった。まるで人間みたいだ。

御多分にもれず花代も年々、高騰している。山から採取し、東京の花屋に卸されたものが教室に届けられる。当然、流通費も加算されているわけだから、美を追求するにはお金がかかる。それに比して、腕前が一向に上がらないとは……。「~道」と称せられる稽古ごとは終わりが見えないと観念するしかない。