「神」という漢字の読み方

昨日、久しぶりにタイ人に日本語を教えた。彼はタイから遊びに来た両親を連れて、関西方面、及び、名古屋、長野、静岡へも行っていたので、さぞかし日本語が上手になっているであろうと思ったが、運転に集中していたらしく、旅行しても語彙はそれほど増えていなかった。
 1時間40分、たくさん話しかけてあげたが、そろそろ疲れが出始めたのがわかったので、最後の20分は、漢字を教えることにした。
 「私がホワイトボードに漢字を書きますから、頑張って読んでみてくださいね」と言って、山手線の駅名を書いた。最初は、新宿。これはすぐ読めた。次に、原宿。読むのに少し時間がかかった。上野はよくわかっていた。
 ところが、神田は彼にとって難しいようであった。神戸へも行って来たので、彼は、神田を「こうだ」と読んだ。あわてて、「かんだ」と教えてあげた。続けて、「神様」と書いたが、読めなかった。
 ついに彼は言った。「日本語、むずかしいですね。漢字の読み方、いろいろありますから。どうすればいいですか?」
 私は答えた。「死ぬまで日本に暮らし、生活しながら慣れていくことですね」
 「神」の読み方はまだまだいくらでもある。「神妙な」、「神楽」、「荒神」、「お神酒」….。

バードウォッチングツアーの値段

私は野鳥の会の会員である。野鳥の会は今年80周年を迎えた。月刊誌「野鳥」の中に、バードウォッチングツアーの宣伝が載っている。
① ウガンダ西部 ¥668,000 *野生のチンパンジーもチャンス 
② 秋のブルガリア ¥428,000 *東岸に勝る秋の渡り鳥たち
③ バンクーバー・オカナガンバレ― *繁殖期の美しい北米の夏鳥たち
④ スペイン オオカミウォッチング ¥528,000 *野性のオオカミを観察するチャンス
⑤ 白夜のラップランド ¥567,000 *極北の鳥たちをヨーロッパの北端で
おお、いずれの旅行も高い! アジアでは、次なる企画が有った。
⑥ 短いニューギニア ¥430,000 *極楽鳥からカワセミ類まで固有の鳥たちを
⑦ スリランカ ネイチャーツアー ¥345,000 *鳥だけにとどまらずゾウなどの動物も
⑧ ボルネオ・キナバル山 ¥298,000 *世界遺産の高山のふもとで熱帯の野鳥を観察
 アジア圏内もやはり結構高い。最後のボルネオ・キナバル山だけは行ったことがある。

フランス人のお喋り

『時の終りへの旅』(辻邦生著 筑摩書房 1977年)を読んだ。その中で、次なる文章が気に入った。
 「大体においてフランス人が食事をするとき、食事を食べる(筆者注:食の漢字の横に、口偏がついている)のが目的なのか、喋るのが目的なのか、わからないほど、よく喋るのは、特に話題が豊富だからではなく、事物についての目じるしの付け方が明快で秩序立っているからである。
 こうして事物の要点に付けた目じるしに沿って、あるいは論理的進行が指し示す論証の目じるしに支えられて、初めて思想を前へ展開してゆくことができる」
 日本人は総じて、無口である。無口であることが美徳でもある。食事中に喋ろうものなら、周囲の目が厳しい。言質をとられないためには黙っているほうが得である。学校では、「シー、静かに!」と小学校時代から言われっぱなしだ。
 そんな日本人に外国語のクラスで「喋りなさい。ディベートしなさい」といっても…..。
 フランス語の勉強は継続しているが、単語を覚えるのもなかなか思うようにいかない。男性名詞なのか、女性名詞なのか、と考えるだけでもいやになる。動詞の活用形でいつもつまってしまう。だが、講師は根気よく教えてくださる。それだけが唯一の救いだ。フランス人とペラペラお喋りする日は絶対に来ないであろうが、フランスの文化の香りに接するだけでよしとしよう。

ルシーダットン を始めませんか?

4月から開講した「タイ語入門 水曜日13:00」のクラスに、整体、タイ・マッサージ、そして、針灸の先生をしておられる男性が学んでいる。
 昨日、いろいろと話していると、彼の一番の関心事は、古式タイ・ボクシングであることがわかった。さらに彼は言った。
 「タイのヨガに相当するルシーダットン(ฤษีดัดตน)を教えたいのですが」
 「それって、かなりきつい動きをするんでしょ?」と、私が素人の意見を述べると、次なる答えが戻ってきた。
 「人によって異なります。その人に適した動きをしていただきます」
 それを聞いて、安心した。彼は多忙なので、教えに来ていただくとしても、月曜日の夜になる。週末、遊んで体がなまってしまっている方に、体を目覚めさせて、呼吸を整え、新たなる一週間を送りたい方、是非ともご連絡ください。

重いお土産

中学時代の恩師が先月、上京したことはすでに書いたが、その時の話の中で、面白いなあと思って聞いた話が有る。
 「あのなあ、こんど東京に来たんはなあ、親友の見舞いで来たんや。会うのはもう最後やと思うけん、彼に食べさせたいと思うて、讃岐うどんと醤油豆を持って来たんやけど、それが重うて、重うて」
 香川県人の土産といえば讃岐うどんが定番である。そして、弘法大師が好んだ醤油豆も選ばれる。
 ところが、病の床に臥せっている親友もお土産を用意していたそうだ。
 「彼なあ、お土産や言うて、羊羹と佃煮をくれたんや。これが重うて、重うて」
 恩師は82歳。独特な顔と立派な体格の持ち主なので、寅さんで有名な柴又帝釈天の団子屋の前で、旅行ガイドに聞かれたそうである。「どこから来られたのですか?」、と。
 彼は答えた。「はい、シンガポールからです⤴」 しかし、彼はいちども海外旅行をしたことが無いそうだ。軽妙なる咄嗟の受け答えがなかなか面白い。

紹興酒の「女児紅」

昨夜、神田須田町に在る上海料理店へ行った。連れて行って下さったのは、湯島聖堂の前で、「ダブルエイジア・パニック」というアジアとアフリカの雑貨店を営業しておられるY子さん。
 彼女は常連なので、中国人店主との会話がポンポンはずむ。私もついつい会話に惹き込まれてしまった。
 Y子さんは紹興酒をボトル・キープしておられた。その紹興酒の名前は「女児紅」。店主の説明によると、女の子が生まれると、紹興酒を造り、それを土中に埋めておき、その女児がお嫁に行く時にお祝い酒として飲む習慣があることから名付けられた紹興酒だそうだ。長く地中に埋めて置かれた酒は大変に香りが良い酒に仕上がっているとのこと。
 我々が昨夜飲んだ「女児紅」は、希少な15年ものであった。昔の中国では、女の子は13歳でお嫁さんになったそうである。

英会話を習っているデパート店員

 アメリカから遊びに来ている親戚は今日、離日する。昨日、買物につきあった。デパートは高いが、品物が揃っているので、短時間で気に入ったものを選ぶには便利だ。
 親戚達の英語を聞いて、店員も片言英語で応じてきた。そして、言った。
 「あら、発音がちがいますね。本当の英語だわ」
 そこで私はすかさず応じた。「ネイティブの英語ですから」
 彼女は目下、英会話教室に通っているとのこと。しゃべる機会ができたわけだから、大いにしゃべればいいのにと思ったが、恥ずかしそうにしていた。
 外国語を習っている場合、文法的な質問は後回しにして、「話す」ということに集中したほうがいい。そして、恥ずかしさをかなぐり捨てて、しゃべればいいと思う。だが、日本人はその壁がなかなか突きやぶれない。
 いずれにせよ、デパートの店員さんは明るい女性であった。おそらく、きっと、彼女は英会話の勉強にますます精進することであろう。

『ホテルからアジアが見える』という本

昨日、午後から全く自由な時間ができたので、早稲田の古本屋街へ出かけた。買った本は3冊。その中の1冊が、『ホテルからアジアが見える』(青木保・編著、海竜社 2001年)だ。青木保氏の次なる文章が気に入った。
 「時の移り変わりはホテルにおよぶ。ときを超えるホテルというものは、例外はあってもアジアでは存在するのがむずかしい。あまりにも変化が激しいからだ。また生活文化にも持続性が乏しい。ホテル資源の豊かなバンコクであるが、これらの課題の最たるものは文化の深みをどのように感じさせるかにあると思う。これはタイ社会全体の問題であるといってもよいであろう」
 青木氏は1965年に初めてタイへ行かれたようだが、彼は「ホーテン・チン(シナ宿)」のことにも言及しておられる。私が1972年からタイ語を教え始めた頃は、ホテルのことを、「ローングレェ-ム」以外に、「ホーテン」とも教えていたので、とても懐かしい感じを覚えた。
 いずれにせよ、私にとってのバンコクのホテルは昔のエラワン・ホテルだ。そして、現在、サイアム・パラゴンになっている場所に建っていたインターコンチネンタル・ホテルが思い出深い。低層階で、孔雀が羽根を広げたみたい。庭が広かった。日本のビジネスマン達にとって、ODAのビッグなプロジェクトを獲得するためには、このホテルに宿泊し、朝、このホテルから出発するのが吉祥願いの願かけであった。

ワサナ先生のタイ料理教室

昨日、生徒さんの邸宅で「ワサナ先生のタイ料理教室」が開催された。エプロン持参で張り切って出かけたが、到着してみると、もうほとんどの料理が並べられていた。
 料理名とデザート名を列挙すると、① ชนมปังหน้าหมู ② ยำมะเขือ ③ ปอเปี๊ยะญวนนึ่ง ④ สเต็กลาว ⑤ ซุปบ๊วย ⑥ วุ้นกะทิ
 参加者が中年・高齢者であったため、激辛ではなくて、上品な味付けになっていた。これなら胃腸にやさしいので、いついつまでもタイ料理を楽しめそうだ。
 84歳の方がおっしゃられた。「私はもうそんなにいただけません。お金も時間もたっぷり有るのに、病気なので旅行には行けません。皆さん、借金をしてでもいいですから、若い時に、どこへでも行ってらっしゃい」
 なるほど、そうかもしれない。私の隣りに座ってらしたその方は、そうおっしゃりながら、結構、タイ料理を楽しんでおられた。たくさんの女性達に囲まれて、きっと楽しかったに違いない。

タイ語はマイナー言語?

今年のタイ・フェスティバルも大盛況であったようだ。そのタイフェスに、郡山在住の元生徒T氏がやって来られたということで、泰日文化倶楽部にも寄ってくださった。3年ぶりの再会であった。
 昨日、その彼から礼状のメールが届いた。語学好きの彼はいろいろな言語に挑戦されたことがあるが、今は中国語を学んでおられるそうだ。耳も慣れてきて、かなりわかるようになっているとのこと。
 彼は私の教室運営に関する苦労話に同調してくださったようで、メールの一部にはこう書いてあった。
 「特にマイナーな言語は学習者が少ないので、教室の運営がより大変だと思います。生徒さんも少なくて、長続きしないのかもしれませんが、マイナー言語だからこそ勉強する価値があると思うのですが…..」
 使用人数が多い言語をメジャー言語、少ない言語をマイナー言語とするならば、タイ語は確かに後者に属する。
 しかし、最近はテレビのニュースでもタイ語を聞くことが多くなった。昨夜のクーデターは、トップで報じられた。タイ語の音に緊張感を覚えた。