高田馬場駅早稲田口を出てさかえ通りに入ると、左手に八百屋がある。威勢がよかった大将は目下、療養中。そこで、今は大将の弟さんが店を守っている。大将の奥さんはマイペースで椅子に座り、客が来るのをじっと待つ。
私がその八百屋に行く理由は猫がいるからだ。そこの猫に私は好かれている。先週の午後、授業前に果物を買いに行ったら、若者が店番をしていた。まだ板についていない感じが.あった。後日、奥さんに若者のことを尋ねると、「甥なのよ。店を継いでくれることに決まったので嬉しい」とにっこり。
その時、私は思った。若者の決断はすばらしい。早朝、市場へ行って野菜や果物を仕入れ、店に戻って来てからは販売に精を出す。その八百屋にはいつも猫がいて商売を見守っている。店はいつまでも安泰。かくして、さかえ通りから八百屋は絶対に消滅しない。