語り部処

 私が生まれ育った郷里の土地は、目下、小さな美術館の駐車場として貸している。そこには茶室が2部屋有り、茶道を愛する人達がお稽古に励んでいるようだ。今週、借主から電話が有り、私の土地にプレハブハウスを置き、丸亀城下町の歴史を語り継ぐ語り部の集い、すなわち、「語り部処」として使用したいという申し出が有った。土地賃貸借契約書の中に<承諾事項=新たな付帯設備の設置>というのが有るので、それを書面で相互に確認できれば認めようと思っている。
 全国の城ブームは年々、熱を帯びている。それに刺激を受けたのか、丸亀市民が我が町のことを語り合い、子孫に残して行く重要性に気付いたようだ。
 私は郷里を離れてすでに57年半。東京が好きだから東京にしがみついている。もしも郷里の土地が有効活用されるのであれば今回の提案も悪くはない。それどころか、「メンバーになって講演をしてください」と言われている。私の話はどうしてもタイがらみとなる。今から「タイと香川」の接点を探し始めなければ….。

早稲田通りは中国人通り

 昨日、教室の近くのマッサージ店へ3週間ぶりに行った。新しい中国人スタッフが加わっていた。この店の経営者は中国人。だから中国人留学生には知れ渡っている。そのため店内では中国語を耳にすることが多い。新しい中国人に中国語で「あなたは北京の方ですか?」と尋ねると、「北京ではありません。瀋陽(沈陽)です」と彼は答えた。私は「瀋陽(沈陽)」という発音をすぐにした。「お上手ですね」とほめてくれた。
 マッサージ店を出て、次に中国物産店に寄った。柿を2個買った。レジのお姉さんがレジ袋に入れてくれたので、「袋代、入りますか?」と日本語で尋ねると、彼女は「日本語、できません」と答えた。そこで、「要銭?」と中国語で言ったら、「不要」と彼女は答えた。レジ袋代3円を節約するために、私は咄嗟に中国語に切り替えたのだ。買物やマッサージの場面なら、中国語を独自で学ぶことも可なり。ただし基本的な発音はプロに指導を受けたほうがいい。

今日の作文

1.日曜日の午前中1時間、座禅をする。

2.月曜日10時、近所の眼科へ行く。

3.火曜日正午、冷凍餃子を食べる。

4.水曜日の午後、宗教書を読む。

5.木曜日の午前中、タイ語の復習をする。

6.金曜日の夜、領収書を整理する。

7.土曜日は特に予定を立てない。

しのぎ

 「しのぎ」という単語、調べてみると、いろいろな意味が有ることがわかった。
1.鎬(しのぎ)=刀・やじりなどの、刃の背に沿って小高くなっている部分。 例)鎬を削る=激しく戦う。ただし、我々現代人は、「凌ぎを削る」と誤記する傾向が有るそうだ。一所懸命が、一生懸命と書かれるのと同じ流れと言えよう。
2.凌ぎ=苦しい局面やつらいことを、なんとかもちこたえて切り抜けること。例)急場しのぎ、退屈しのぎ。
3.シノギ=反社の収入や収入を得るための手段のこと。
4.おしのぎ=定まっている食事の時間以外に出される軽食のことで、空腹を凌ぐという意味を持つ。
5.陶器の模様の一つ。
6.脚注
 ああ、日本語も難しい。漢字も書いて書きまくらないと、感覚がするりと抜けて行く。
 

御会式桜

 昨日、茶道教室に参加した。お菓子は桜の花弁を模したものであった。秋に桜? 不思議に思っていると、茶道講師の説明が有った。「10月13日に日蓮上人が御入滅された時、桜が咲いたそうです。そして、少しずつ咲きながら、4月に満開になるので、この種の桜を御会式桜と言います」
 10月13日と言えば、ラーマ9世(プミポン国王)が崩御された日でもある。2016年10月13日であったから、もう6年が経つ。国民思いであられたラーマ9世を忍んで、泰日文化倶楽部ではいまだに教室にポスターを貼ってある。
 エリザベス女王がお亡くなりになられた時にもロンドンの空に2重の虹が突如現れ、英国民を驚かせた。奇跡は有る。そして奇跡は永遠に語り継がれて行き、いつしか説話(おとぎ話)となり、メルヘンとなる。

今日の翻訳

 児童書シリーズに書かれた序文(โดย นายชินภัทร ภูมิรัตน พ.ศ.๒๕๕๕)の序文から出題する。上級レベルの動詞がたくさん出ているので頑張って覚えよう。

1.เรื่องนี้ เป็นหนังสือเล่มหนึ่งในชุด สื่อนวัตกรรมแห่งการเรียนรู้เพื่อชีวิต ตามปรัชญาของเศรษฐกิจพอเพียง 

2.เป็นนิทานประกอบภาพที่ปลูกฝังคุณธรรมพื้นฐานที่ควรจะเริ่มจากภายในครอบครัวตั้งแต่เด็ก

3.ได้แก่ ความรักใคร่ ปรองดองในครอบครัว ความสามัคคี การรู้จักทำงาน การแบ่งปัน มีน้ำใจช่วยเหลือกัน สอดคล้องกับแนวปรัชญาของเศรษฐกิจพอเพียง

4.สื่อการเรียนรู้ชุดนี้จัดพิมท์เป็นครั้งที่๒ เพื่อใช้เป็นหนังสืออ่านเพิ่มเติมสำหรับนักเรียนระดับประถมศึกษา ซึ่งครูสามารถจัดกิจกรรมบูรณาการในกลุ่มสาระต่างๆ ได้

軽いタッチ

 先日、バスの中で不思議な光景を見た。それはご機嫌ななめの坊やがわめき散らすのを見た初老の女性が坊やの腕に軽く手を添えたところ、彼はぴたりと泣き止み、おばあさんをじっと見つめ続けた。女性は「大丈夫よ。大丈夫」と話しかけた。よくよく見ると、彼はハンディキャップのある子どもであった。彼の母親はベビーカーを持ったまま、呆然としていた。
 私はその光景を見ながら、<軽いタッチ>の効果に内心で感嘆した。子育て上手のおばあさんの手は魔法の手だ! 坊やとおばあさんが見事に気が合った!
 教育は力ではない。強いやり方よりも、軽いほうが効果を発する場合もあるんだ。しかしながら、肝心なのは両者の目と目、心と心。教える側はついつい頑張りすぎるが、軽いタッチのほうが教わる側にはちょうどいい場合もある。

今日の作文

1.一般家庭は節約生活に入った。

2.貯金の残高が減って行くのを見るのは恐い。

3.仕事をしても、所得税は引かれるは、住民税や健康保険料は増えるやで、いいこと無し。

4.外食を減らしたので、コレステロール、血圧、血糖、等のすべての数値が良くなった。

5.結論は、精神的におだやかな時間を過ごすことが一番良いということだ。

チョンブリの海

 バンコク在住であった元生徒さんの訃報が入って来たのは先月末。それからというもの、彼が在籍したクラスでの勉強風景を思い浮かべながら複雑な気持ちにおちいっていた。しかし、昨夜、彼の散骨の様子を写した動画が送られて来たのを見てようやく安堵した。彼の遺灰が彼の愛したチョンブリの海に静かに抱かれたからである。
 その後、私は眠りについた。そして夢を見た。仏教講座に参加し、初心者として仏教を学ぶ喜びにひたっている夢である。さらには、渡し船に乗ってどこかの湖を横切っている夢も見た。空気がきれいで爽快であった。心はおだやかな浮揚感でいっぱい。
 タイを愛する日本人は多い。日本で死のうがタイで死のうがどちらでもよい。ただ言えること、それはシャム湾の海は碧くて透明。そして空も海も広くておだやか。シャム湾全体が母の胎なのである。
 

蛙と鉋

 昨日の授業で使用したタイ国語教科書(2年生用)の中に、「ไสไม้ 木を削る」という表現が絵入りで出ていた。すると、タイ人講師は補足した。「鉋(กบ)という単語は、蛙(กบ)と同じ単語を使います。鉛筆削りはกบเหลาดินสอ)と言います。何故、鉋と蛙が同じなのかはよくわかりません」
 なるほど、謎である。しかし、よくよく考えてみると形状が似ている。そうだ、その感覚から同音異義語になったのかもしれない。辞書で「กบ」を調べてみると、全部で10の意味が掲載されている。とても覚え切れない。語学は根気を要する。じっくりと取り組むしかない。
 タイ人のニックネームの中に「蛙」が有る。「大地に這いつくばって、堂々と生きよ」という願いが込められている。たかが蛙と侮るなかれ。コロナ禍に打ちのめされた人間よりも根性はしっかりしている。