大漁旗

 福島駅前に在る大衆酒場に行った。一人なのでカウンターに案内された。そのカウンターには紙と鉛筆が用意されており、名前、電話番号、日にち、そして、どこから来たのかを記入しなくてはならなかった。東京から来たことを正直に書いた。

 会津若松の日本酒である「会津中将」を注文。肴は鯵と鰹の刺身。若くして亡くなった元教え子に献杯。店内を見回すと広間の壁に大きな大漁旗が飾ってあり、「高松築港」と書いてあった。福島県に香川県の大漁旗とは不思議や不思議。

 カウンター内にいた女性に尋ねてみた。「なぜ香川県の大漁旗が有るの?」 するとその女性は素っ気無く答えた。「ネットで買ったんですよ」、と。不要になった大漁旗がネットに出されていたので、デザインだけを見てそれをインテリアとして購入したまでというふうに聞こえた。ネット社会で地元愛は消えた。