免疫学者の話

『「老いる」とはどういうことか』(河合隼雄 講談社文庫 1997)の最後に、免疫学の第一人者である多田富雄氏(1934-2010)との対話が掲載されている。多田氏の免疫に対する解説は非常にわかりやすい。

 「免疫は伝染病に対する抵抗力のような形で認められていますが、ほんとうは自分以外のものが体にはいってきたときにそれを排除するという反応です。ちょうど脳と同じように、自分と他人を区別するシステムということになります。それが老化に従って低下するので、老人の死因の大半は最終的には感染症になるわけです」

 コロナ報道で、頭から足先まで「コロナ」という言葉にまとわりつかれているが、そもそも人間とは、日々、死に向かっている。免疫アップを心掛け、いずれ近いうちにやってくるであろう第5波に備えよう。