単語の使い方

 先日、或るタイ女性とお会いした。とても落ち着いた感じの中年女性であった。彼女のほうから自己紹介をしてきた。
 「〇〇と申します。旦那は日本人です」
 それを聞いて、私は彼女の日本語を直してあげたくなった。
 「旦那ではなくて、主人と言ったほうがいいですよ」、と。
 だが、やめた。余計なことはしないに限る。
 ところが、もう少し話しているうちに、彼女が「主人」という言葉に切り替えてきた。彼女のほうで、この人(=私)と話すのは「主人」のほうがいいかなと気付いたらしい。
 夫、主人、旦那、亭主、連れ合い….。いずれも同じ意味だ。だが、誰と話すかによって、やはり使い分けが要る。どの単語を頻繁に使うかによって、その人の環境、教養、そして友人関係が透けて見えるからだ。
 辞書を引くと、同じような単語がたくさん列挙されているから、使い方がわからないという生徒が多い。たくさんの文章を読んで、感覚を鍛えるしかない。