百歳の日記

目下、『どうにもアトリエ日記』(野見山暁治 生活の友社 2020年12月17日発行)を読んでいる。画家の野見山氏は2020年12月17日にめでたく百歳を迎えられた。この本は2017年3月1日から2020年4月30日までに書かれた日記である。
 御高齢であるので文章は短い。しかし、その短いのがすばらしい。彼の人生や眼識が詰め込まれている。この本は昨年の4月までの日記だから、もちろんコロナのことも書かれている。
 「4月17日 このところコロナの強迫で、なにも手につかん。雑誌『こころ』の表紙文を書いた。(赦してくれ、見逃してくれ、どうか生かしてくれ。怖い。なに、もう生きてはいないのか)。」
 この文章が書かれてから9ヶ月が経過している。野見山氏の現在の心境が知りたい。それは2~3年先に発行されるであろう『日記』に書かれているはず……。今からが楽しみだ。