先週の土曜日、華道講師に尋ねた。
「どうすれば、上手に花を生けられるようになりますか?」
性格がさっぱりとした講師は即座に答えられた。
「美しいものをたくさん見ることですね」
一方、茶道講師は稽古中にいつも同じことを注意なさる。
「順番を間違えても大丈夫。あくまでも所作が美しくなければなりません」
昨日、すでに鬼籍に入ってしまった歌舞伎役者二人の踊りをテレビの再放送で見た。とても軽やかでいて、力強い舞いであった。幼少期から稽古、また稽古の日々を送って来た彼ら。手足の動きに魅せられた。
「美しく生きる」とは、時々、とってつけたように意識するのではなくて、日々の研鑽そのものから生まれる。
いずれにせよ、凡人には難しい。とりあえずは、「天高く馬肥ゆる秋」を掲げ、美味しいものを食べてから、美の扉を開こうではないか。