堆朱(ついしゅ)

 一昨日、茶道教室に参加すると、茶道講師は「菊の花」をテーマにしたお道具を揃えておられた。まるで「菊の宴」の如くであった。
 床の間には講師が篆書されたお軸、生徒の一人が生けた茶花、そして、紅漆の香合が置かれてあった。
 その香合は、「堆朱」という彫りでつくられており、「ついしゅ」と読むそうだ。朱漆を上から何度も重ね塗りし、そして、彫刻するという中国の技術。確かに、そのような工芸品を見たことがあるにはある。だが専門的な呼び方は知らなかった。
 ひるがえって人生にたとえてみよう。年代を重ねて行くうちに、相当にぶ厚い層を成して来ているはずだ。その幾層にも重なった我が人生の彫りたるや、浅いか、深いか? 果たしてその出来栄はいかに….。