「忘れました」というタイ語

 昨日からTさんが復帰された。彼と会うのは1年半ぶり。見事、医師国家試験に合格し、現在は研修医として都内の病院で働いておられるそうだ。
 タイ語のことを尋ねると、「もう忘れました」と彼が言ったので、「それをタイ語で言ってみてください」と私は促した。「ลืม ルーム(忘れる)」とすかさず反応したところを見ると、単語は忘れていない。
 私は助言した。「ลืม だけですと、それは辞書の中に出ている見出し語に過ぎません。もっと動きのある表現をしないと」
 彼は素直に従い、完了形を使って「ลืมแล้ว 忘れました」と言った。
 横で聞いていたタイ人講師がさらに補足した。「ลืมหมดแล้ว 全部忘れました」
 ところが、さらにタイ人講師は表現をがらりと変えた。
 「タイ人なら、จำไม่ได้ (覚えていない)と言いますね」
 日本人は生真面目に直訳をしようとして、どうしても発話が遅くなる。会話は勢いだ。相手に気持ちを伝えようとする場合、内容が合致していればいいのである。カチカチにならないで、柔軟に話そう!