遣唐使船の組織と乗員

 『「黄金」から見直す日本史』(加藤廣著 NHK出版 2013年)はラジオで講義されたテキストだが、その中の第4回目に放送されたタイトルは「金と遣唐使と弘法大師 ~平安時代」である。
 加藤廣氏は「遣唐使」という巨大プロジェクトについて述べ、その組織、具体的に言うと、どのような職種の人間が船に乗り込み中国へ行ったかが列挙してある。時期によって異なるものの、『延喜式』によると、その役職は実に32の多岐に及ぶと彼は言う。
 「大使、副使、判官、録事(議事録係)、知乗船事(航海長)、訳語生(通訳)、請益生(禅宗の学僧)、主神(神棚を祭る人)、医師、陰陽師、絵師、史生(記録係)、射手、船師、音声長、新羅・奄美訳語生、卜部(占いを司る官吏)、留学生、学問僧、従者、雑使、音声生、玉生(玉を加工する人)、鍛生(かじや)、鋳生(いものや)、細工生、船匠、舵師、舵とり、水手長、水手」
 この中で6番目に書かれている<訳語生(通訳)>だが、<おさしょう>と読むそうだ。不思議な感じがする。中国語ができた日本人が一緒に随行したようだが、新羅・奄美に関する言葉ができた通訳も同じく乗船。まさしく多岐に及んだ組織であったことが想像し得る。