美容師先生

 私は2年余り前から近所の美容院を利用している。以前は高田馬場の美容院に行っていたが、自分が住んでいる商店街を活気づける一助になればと思い、ご近所さんにお金を落としているわけだ。
 美容師先生はかつて伊勢丹の美容室で働いておられた関係で顧客がものすごくいらっしゃる。予約を取るのがなかなかにむずかしい。いつでもふらりと入れた高田馬場の美容室は大いに違う。
 昨日、雑司ヶ谷界隈を散策したことをブログに書いたが、散歩も終わりになった頃、あるご家庭の垣根に置かれたパンジーがとてもきれいであったのでスマホで写真を撮っていたら、背後から、「おはようございます」と私に声をかける方がいた。近所付き合いのない冷たい東京で、私に声をかけて下さる方がいようとは! とても不思議であった。
 私は写真を撮り終えた後、振り向くと、その方はもう先を歩いていた。一体、誰であろう。しばらく考えた。そして、先ほど聞いた声を思い返した。「あっ、美容師の先生だ!」 彼は私を顧客の一人として認めてくれていて嬉しかった。