幸運な生徒さん

泰日文化倶楽部は今日から授業再開いたします。年末年始の休みまで、4ヶ月間、タイ語を勉強して、タイ語の学力を向上させましょう!

 昨日、教室へ行き、掃除をして新しい空気を入れた。そろそろ帰ろうとしていると、教室のドアが開いた。「タイ語中級 水曜日14:40」のクラスの生徒さんであった。私はあれあれっと思った。やはり夏休みの日にちを間違えて来る生徒さんがいたか、と。
 彼は学習意欲がものすごく高い生徒だ。そこで、私は彼に2時間ばかり、好意で特別に教えてあげることにした。日頃はタイ人講師から習っている彼だが、いろいろな質問を抱えているであろうことを想定し、彼のもやもや感を一掃してあげようと思ったからである。
 彼はタイ語を話したくてたまらない。しかし、その機会は少ない。そこで、彼は次なる試みをしているそうだ。英語が話せないタイの友人がタイから来ると、英語ができない自分の友人を招き、3人で食事をし、二人の間に座って通訳をしているとのこと。
 いずれにせよ、間違って教室にやって来た彼は、たまたま居合わせた私の授業を受けて、幸運な生徒さんであった。

マルチン病院

今年の夏は全く予定を立てていなかったが、従兄(92歳)の娘から、「父がマルチン病院に入院しています」という一報が入って来たので、先祖の墓参も兼ねて、急遽、日帰りのつもりで瀬戸大橋を渡った。
 マルチン病院? あまり聞き慣れない名前だなあと思いつつ、ネットで調べると、正しくは「坂出聖マルチン病院」と言い、聖ドミニコ宣教修道女会が昭和24年(1949年)から運営している病院であることを知った。空海が生まれた香川県。したがって、真言宗のイメージが強い環境の中にあって、カトリック系の病院が70年間も地域医療に頑張っているとは!
 病院は2年前に建てなおされたばかり。とても清潔で、廊下も広々。7階からは瀬戸内海が見える。
 何よりもよかったのは、のんびり感。仕事の関係で都内の病院へはよく行くが、形容しがたい緊張感と圧迫感が嫌いである。そして、何よりも人が多すぎる。もしも長期療養に入るようなことになれば、田舎の病院のほうがいいな。

モロッコの女性

泰日文化倶楽部は8月21日(水曜日)まで休みですが、ブログのほうはそろそろ書き始めます。
 8月10日午前7時5分、東京駅からひかり号で岡山へ。自由席はJRパスで旅行する外国人観光客であふれかえっていた。まるで私が外国旅行しているかのような錯覚を覚えた。
 私は必死で席を探した。3席側の真ん中が空いていたので、なだれ込むようにして座った。隣りの外国人は南米から来た女性に思われた。
 名古屋あたりで、私から彼女に話しかけた。彼女はパリの大学の大学院で美術を専攻しているモロッコ女性であることがわかった。得意とする言語は、アラビア語、ポルトガル語、フランス語、そして、英語。東京に在る某建築事務所でインターン(3ヶ月)をしており、お盆休みを利用して、直島の「瀬戸内国際芸術祭2019」を観に行くそうだ。
 彼女の小さなノートには、ひらがな、カタカナがびっしりと書かれてあった。私は彼女の名前をひらがなとカタカナで書いてあげた。彼女は言った。「来年も必ず日本に来ます!」

31年間、走り続けるタクシー運転手

昨日、赤坂7丁目にある草月会館でランチをした。窓越しに見える高橋是清翁記念公園の大木の緑が目にさわやかであった。1936年2月26日にこの地で暗殺事件が有ったとは……。
 食後、外に出てみると、246号線にはタクシーがいっぱい停車していた。だが、客待ちではなくて、どうやら運転手達が午後の休憩をしているようであった。昨日の東京は今年一番の暑さ。無理もない。
 私は信濃町駅までタクシーで行くことにした。そこで遠くから走って来たタクシーに手で合図した。タクシーは急停車して20m先で止まった。運転手は饒舌であった。
 「いやあー、すみません。気がつくのが遅くて。31年、やっている自分が恥ずかしい。お客さん、31年、私は東京の隅から隅まで走っています。こんなに続いているタクシーの運転手はいませんよ」
 それを聞いて、私は心の中で言い返した。「私だって、約31年、タイ語教室をやっていますよ。あなたに負けてません」
 年齢を尋ねると、彼は71歳。タクシーを降りる時、「私は72歳。あなたよりもお姉さんですね」と、言って別れた。

今日一日、マイペースで!

泰日文化倶楽部は明日8月8日(木曜日)から2週間の夏期休暇に入ります。授業再開日は8月22日(木曜日)です。生徒の皆さん、どうかお間違いなきよう、お願いいたします。
 猛暑日の連続。体力消耗。したがって、「頑張りましょう!」とは言いません。「今日一日、マイペースで!」ということにしましょう。
 先日、「พยายาม 努力する、頑張る」という単語について、タイ人講師がこう言ってました。
 「たびたび言われると、タイ人は違和感を覚えます。ไม่เป็นไร(大丈夫)と言われるほうがいいです」
 横で聞いていた私は、「やはりそうか」と思いました。日本人の発想を無理にタイ語にしようとすると、タイ人にはそれを受け入れる許容度が低下するということがわかりました。ですから、励ます場合は、タイ人側に寄り添って、タイ人がよく使っている表現でなぐさめてあげるのが一番。

グラビー県の島の子供達

泰日文化倶楽部の元講師から、南タイのグラビー県の島へ行った時の写真が送信されて来た。イスラム教徒達が礼拝する姿、バンコクから参加したご一行様、子供達の可愛い姿、海老のから揚げ料理、等々の写真を見て、20数年前に行った時のことが懐かしく思い出された。
 タイ語の勉強のために、元講師からのタイ語を以下に引用するから、訳してみよう。
 「ฉันเพิ่งไปเกาะกลางจังหวัดกระบี่เป็นชุมชนชาวอิสลาม คนอิสลามเขาไม่เลี้ยงหมา จึงมีแมวแยะทั้งแมวที่เลี้ยงเองและแมวที่อยู่ตามธรรมชาติ แมวที่นั่นหาอาหารโดยจับปลาทะเลกินเอง ตัวอ้วน แข็งแรง ขนสวย สุขภาพดี และไม่กลัวคน
บนเกาะมีรถมอเตอร์ไซค์ตามรูปเท่านั้น ไม่มีรถยนต์เลยค่ะ เด็กๆอิสลามก็น่ารัก อาหารสดอร่อยมากค่ะ」
 そこで、私も短いレスを送った。
 「เด็กๆน่ารักมาก ผู้ใหญ่บนรถมอเตอร์ไซค์ก็น่ารักเมื่อ50ปีที่แล้วค่ะ」

R音 対  L音

日本人が発音すると、crime(犯罪)とclimb (登る)が同じように聞こえる。correct(正しい)とcollect(集める)も然り。
 先日、BBQパーティーに参加した時、ร่ม(rom 傘、下声)と、ลม(lom 風、平声)の違いが聞き取れない生徒達がいた。それを見て、R音とL音の聞き分け、及び、発声を訓練する必要が有ると思った。
 以下に単語を列挙するから、まずは意味を、そして、発音をしてみよう。その際、声調や末子音にも気をつけること。

1. รัก  ลัก2. รับ   ลับ
3. เรียน เลี้ยง  4. ร้าน  ล้าน
5. รบ   ลบ    6. ราด   ลาด
7. ราย  ลาย8. รา  ลา 
9. หรอก หลอก 10. โรง  โลง

ひと織りひと織り

呉服店から送られて来るDMには、顧客を引き付ける文章が次から次に書かれている。それにおびき寄せられて店へ行ったらおしまい。大枚が飛んでしまうから。
 西陣の帯に関する宣伝文句はこうである。
 「文化元年(1804年)創業以来、菱屋善兵衛の伝統と技を今に受け継ぎ、織の町(西陣)の地で織り続けられる珠玉のおびの数々。ひと織りひと織り精魂込めて綾なされし染織の妙。感動を誘う美の神髄をあますところなくお伝えいたします」
 私はこの文章の中から、<ひと織りひと織り>という表現が気に入った。これが、<ひとりひとり>にも聞こえて来て、職人の一人一人が丁寧な仕事をしているという現場が浮かんで来るからである。
 今から30年前、外務省の仕事でタイからのVIPを案内して西陣へ行ったことがある。したがって、現場の空気感はいまだに脳裏に残っている。何の仕事であれ、コツコツ精神が大切である。語学で言えば、<ひと言ひと言>である。

釧路から転勤通知

昨日、泰日文化倶楽部の元生徒であるT氏から一枚の葉書が届いた。てっきり暑中見舞いの葉書だと思った。だが、よく見ると転勤通知であった。
 時事通信社勤務のT氏。釧路支局へ転勤とは! 「初めての北海道生活で、取材に加えて営業も行うことになりました」と書いてあった。
 ネットで調べてみると、時事通信社は国内に78支局、そして、海外に27支局を配置していることがわかった。北海道だけでも、主だったところには支局が有る。取材網の細かさを初めて知った。
 東京本社に於けるT氏は金融面をカバーしておられたが、釧路では果たして何に焦点を当てて記事を書かれるのであろうか? 
 思索的な方だから、そして、文章力は抜群であるから、視点の深淵さたるや、まるで釧路湿原の如く、そして、透徹さにおいては、阿寒湖の如く、書き上げるであろう。