一日暮し

『一日暮し』(水上勉 角川書店 1996)の冒頭に次なる文章が有る。タイ語に訳してみよう。
 
 「たった一日でよい。あすも、あさっても生きたいと思うから、この世がめんどうになる。今日一日を何とか、人に厄介をかけず、健康ですごせたらと、そればかりの工夫なら、あてがはずれても一日のことだから、雨でも嵐でも、まあ辛抱できるというものだろう。かりに天気にめぐまれても、たとえば家にもめごとが起き、辛い思いが生じないともかぎらない。それだって一日のことなら、まあ、辛抱もできると思う」