和更紗 と シャム

 『和更紗 江戸デザイン帳』(熊谷博人著 クレオ社刊 2018年)に目を通していると、次なる文章に興味を覚えた。
「宝永五年(1708)『増補華夷通商考』しゃむろ屋の項に、日本とシャム(現在のタイ)との交易があり、シャム王国で珍重されるインド更紗の技法も学んでいることが記されている。シャム向けに制作されたインド更紗が、シャムの日本人街から日本に運ばれていた」
 茶人が愛した宋胡録焼き(スンコロク焼き=タイの古陶)のことは知っていたが、茶道で使用するお茶入れの仕覆や袱紗の模様がタイ経由で来ていることを知って、とても親近感を覚えた。
 そういえば、タイの生地を見ると、シルクであれ、綿であれ、それらの模様に昔からとても郷愁を覚えたものだ。だから、いまだに捨てずにとっておいてある。
 「更紗」という漢字は、熊谷氏の説明によれば、「日本では、佐羅紗、皿紗、佐羅佐、暹羅染など、様々な名称が用いられ、愛されてきた」そうだ。そして、染める職人を「暹羅師」とも言ったそうだが、「暹羅」とは、シャムのことである。