アジア女性交流史の研究家 山崎朋子さん

 アジア女性交流史の研究家である山崎朋子さんの訃報(享年86歳)をニュースで知った。彼女が書いた『サンダカン八番娼館』(1972年)は、翌年、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。熊井啓監督による映画『サンダカン八番娼館望郷』(栗原小巻、田中絹代 出演)も見た。衝撃的であった。<からゆきさん>という言葉が耳について離れなかった。
 15年ほど前、マレーシアへ旅行した時、思い切ってボルネオ島まで飛んだ。現在の州都はコタキナバル。だが、1947年までの州都はサンダカン。サンダカンまで行く時間が無かったので断念したが、キナバル山へ行くためにチャーターしたタクシーの年老いた運転手が教えてくれた。
 「ほら、あそこ! 日本から来た女性の墓だ。みんな日本を向いてるよ」
 そのように教えてもらわないと車で通り過ぎてしまいそうな場所であった。コタキナバル(昔の呼称はジェッセルトン)でも日本女性は働かされていたというわけだ。何故ならば、1942年から1945年まで日本軍の占領下に置かれていたから……。