魚島(うをじま)

 『光のくだもの』(大岡信著 小学館 1992年)の中に「うをじま」という詩が紹介され、何故、書いたか、そのいきさつが述べられている。瀬戸大橋開通(1988年)を記念して刊行される瀬戸大橋写真集『未来架橋』に共著者として書くため、備讃瀬戸の本島を取材するうちに、次なる詩が出来上がったとのことだ。

  魚島どきの海どりは いつにもまして 目を張って翔ぶ
  はれぼったい 寝ぼけまなこは 一羽もゐない
  玉藻よし讃岐の国の 海どりは 目の高気圧だ

 大岡氏は「魚島とは、晩春・初夏のころ、産卵をひかえて外海の魚が沿岸付近に大挙して集まるのを形容して言う」と説明を加えている。「この海域が大小三千といわれる多島海であり、必然的に海底が複雑に起伏して魚類の棲息に絶好の条件を与えている」と、関東人である彼は我が故郷を絶賛。某政治家が「四国は離れ小島」と言ったそうだが、詩人に言わせれば、「四国は魚島」。昔の景観をそのまま残し、幸多き島である。