鋳物師(いもじ)の町

 金沢からどこにも寄らずに帰京するのはもったいないと思い、在来線(石川鉄道線)に乗って高岡市へ行った。目下、JRのコマーシャルで、吉永小百合さんが高岡市金屋町のお店からのれんを押して出て来る映像が繰り返し流されており、それがインプットされていたことは否めない。だが、この決断はとてもよかった。
 富山県高岡市は日本一の銅器(銅合金鋳物)の産地であり、4百年も綿々と続いているそうだ。鋳物師と書いて、「いもじ」と読むとのこと。
 最初に、金屋町の鐵瓶屋に入った。茶道で使う茶釜や鉄瓶がずらりと並んでいる。いずれの品々も精緻で、歴史を感じた。じっと見ていると、江戸時代の鋳物師の頭に見えてきた。暑さ寒さに関係なく、一年中、そして、己の一生を鑿とともに渾身の鐵瓶を造り上げた精神に心打たれた。